MDSJ代表理事挨拶

この度、武田篤先生の後任として、2024年7月から代表理事に就任致しました鳥取大学医学部脳神経内科の花島律子でございます。大変光栄であるとともに、身の引き締まる思いです。当学会は、2001年に錐体外路性疾患の臨床・研究を推進するために日本神経学会学術大会のサテライトシンポジウムとして発足し、2007年には学会として独立した後は年々参加者が増えていき、今ではパーキンソン病・運動障害疾患を専門とする医療関係者にとって重要な情報交換の場になっています。2019年4月1日には一般社団法人化されて、法的にも独立した組織として体制も新たに整えて運営されるようになりました。

当学会はパーキンソン病およびその関連疾患、脊髄小脳変性症などの運動失調症、ジストニア、振戦、ミオクローヌスなどの不随意運動など運動障害を示す疾患(Movement Disorders)を対象にしています。これらの疾患は、人口の高齢化に伴い世界的にも有病率が増加し、一部の専門家だけではなく社会的にも疾患に対する関心が増し、この分野の重要性が高まってきています。多科の医師および多くの職種の医療関係者が一体となって、最新の研究、治療法、療養法を共有し連携して医療にあたることが大切であり、最新の医療が提供できる体制作りに本学会は尽力したいと考えています。

このため、本学会では教育・研修活動に力をいれ、年次学術集会の他に2011年からは教育研修会を開催し、パーキンソン病とその関連疾患の基本的な知識を医療関係者が広く研修できる場を提供してきています。また、2015年からは、地域毎に動画を用いて運動障害疾患の症候を少人数で勉強するビデオフォーラムも開催していまます。さらに、2016年からパーキンソン病に精通した専門看護師を養成することを目的としたPDナース研修会を設け、それをナース以外のメディカルスタッフにも発展させて2022年からPDナース・メディカルスタッフ研修会を全国各地で実施しています。PDナース・メディカルスタッフ研修会では、確認テストも行い「パーキンソン病療養指導士」の資格を承認する制度も設け、すでに沢山の療養指導士が全国に誕生しています。また、パーキンソン病や運動障害疾患の治療法はいまだ十分ではなく、病態機序が不明なものもまだ多くあります。研究推進、治療法開発を進めるためにも、最新の研究内容の共有を行うと共に、医療者間の議論の場やネットワーク構築に役立つよう、この学会が支援していきたく存じます。また、本学会の活動を通して、社会全体としてパーキンソン病・運動障害疾患に関する認識が更に高まるよう運営していきたいと考えています。本学会は国際パーキンソン病・運動障害疾患学会のアジア・オセアニア支部に属しており、国際的な連携も大事に運営してまいります。

微力ではございますが、ご指導ご鞭撻の程を宜しくお願い申し上げます。

2024年10月1日
MDSJ 代表理事
花島 律子